こんな悩みをスッキリ解消
- 他人名義の車を売る際に必要な書類や手続き内容を知りたい
- 訳あって他人名義の車を代理で売らなければいけない人
- 代理で車を売る最もカンタンな方法を探している人
車は所有権がある財産なので、代理で第三者が売るのは非常に大変です。
代理で車を売るにはどんな書類が必要なのか、どんな手続きが必要なのかをわかりやすく紹介しています。
最後まで読むことで、他人名義の車を代理で売る方法が身に付きます。
他人名義の車を代理で売却する2つの方法と手続き・必要書類
先に結論をお話すると、代理で車を売るのは「基本的には不可能」です。
なぜなら車は法的に「財産」と認められており、それを代理人が売ることはできないのです。
しかし、所有者が許可していて書類を用意してくれる場合に限り、代理で車を売ることが可能。
まずは代理で車を売る2つの方法を見ていきます。
代理で車を売る2つの方法
- パターン1.あなたが代理で売る(窓口をするだけ)
- 流れ:(車)所有者→ディーラーや車買取店 (お金)ディーラーや車買取店→所有者
- パターン2.あなたの所有にしてから売る(名義変更をしてから売却する)
- 流れ:(車)所有者→あなた→ディーラーや車買取店 (お金)ディーラーや車買取店→あなた
パターン1.あなたが代理で売る(窓口をするだけ)
親や家族・親戚など、信頼できる人の場合は、こちらの方法がほとんど。
あなたがやることは、通常の車を売るとき同様の下記必要書類を所有者に準備してもらい、代理人であるあなたの身分証明書と印鑑を用意すればOKです。
必要な書類(もの) | 普通自動車 | 軽自動車 | 用意する人 |
---|---|---|---|
実印 | ○ | 車所有者 | |
認印 | ○ | 車所有者 | |
印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内 |
○ | 車所有者 | |
自動車検査証(車検証) ※車検が切れていないこと |
○ | ○ | 車所有者 |
自動車(軽自動車)税納税証明 | ○ | ○ | 車所有者 |
自賠責保険証 | ○ | ○ | 車所有者 |
リサイクル券 | ○ | ○ | 車所有者 |
譲渡証明書(記載例) ※車所有者の実印必須 |
○ | 車所有者 | |
委任状(記載例) ※車所有者の実印必須 |
○ | ○ | 車所有者 代理人 |
身分証 | ○ | ○ | 代理人 |
ポイントは、所有者に「実印」「譲渡証明書」「委任状」「印鑑証明書」を準備してもらう必要があること。
実印は「譲渡証明書」「委任状」に押印が必要で、予め所有者に記入と捺印をしてもらいましょう。
特に書類に不備が無ければ、実印自体を持ち運ぶ必要はありません。
印鑑証明書は実印が所有者の印鑑であることを証明するもの。
事前に市役所または区役所で取得しておいてもらいましょう。
車を売るのに必要書類と入手方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
パターン2.あなたの所有にしてから売る(名義変更をしてから売却する)
2つ目の方法が所有者をあなたに変更してから売却するパターンです。
あなたの名義変更さえできてしまえば、売却はあなたの意志と書類で自由に売却ができるようになります。
名義変更は運輸支局で行い、以下の書類が必要となります。
書類の種類 | 旧所有者 書類 |
新所有者 書類 |
メモ |
---|---|---|---|
印鑑証明書 | ○ | ○ | 発行日から3ヵ月以内のもの |
委任状 ※記載例 |
○ | 新旧所有者の実印の捺印が必要 実印を当日もっていけば不要 |
|
譲渡証明書 ※記載例 |
○ | 旧所有者の実印を捺印 | |
車検証 | ○ | 車検が切れていないこと | |
車庫証明 | ○ | 使用の本拠地が変更なければ不要 発行日から1ヶ月以内のもの |
|
住民票 | △ | 車検証と印鑑証明の住所が異なる場合 | |
戸籍謄本 | △ | 車検証と印鑑証明の氏名が異なる場合 | |
希望番号予約済証 | △ | 希望ナンバーをする方のみ | |
理由書 | △ | ナンバープレートを紛失・盗難で返納できない方のみ |
名義変更は新所有者と旧所有者の共同作業。
これらの書類を用意して、運輸支局へ出向き名義変更を行います。
名義変更があなたになってしまえば、あとは通常の車売却と流れは同じです。
所有者が海外にいる場合はどうなる?
ここまでの説明は、全て車の所有者が日本国内に住んでいることが前提でした。
しかし車の所有者が海外に住んでいる場合はどうなるのでしょうか?
海外にある日本大使館では、印鑑証明書の代わりとなる「署名証書」という書類が発行できます。
日本国籍を持っていてパスポートを提出すれば、手数料1,700円(現地通貨で支払い)で発行可能です。
ただし、その書類には署名と拇印が必要になるため、代理での発行は不可能。
車の所有者が現地の日本大使館に出向く必要があるのです。
署名証書の発行方法は「外務省のページ」をご確認ください。
海外に住んでいる人が署名証書と一緒に用意しなければいけないのが、「住民票の除票」です。
これは代理人が市役所の市民課で取得できるものですが、車の所有者が日本の住民票を抜いて海外に転居したことを証明するもの。
代理で住民票の除票を発行するためには署名証書が必要なので、まずは所有者が日本大使館に出向く必要があります。
所有者が認知症などの場合はどうなる?
高齢で免許証を返納し車を売る人の場合、本人が認知症になっている可能性もあります。
認知症の患者が委任状を作成しても法的な効力はなく、家族が勝手に車を売ることはできません。
その場合は成年後見人を立てる必要があり、まずは家庭裁判所で申し立てを行う必要があります。
成年後見人の申し立てに必要な書類一覧
- 後見・保佐・補助開始申立セット
- 提出書類確認シート
- 後見・保佐・補助開始申立書
- 代理行為目録
- 同意行為目録
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 財産目録
- 収支状況報告書
- 後見人等候補者事情説明書
- 同意書
- 本人情報シート
- 診断書・診断書付票
- 成年後見制度における診断書作成の手引き
これらは個人で作成できるものではなく、医師や福祉関係者の協力も必須です。
まずは市役所または区役所に出向き「成年後見人を立てたい」と相談しましょう。
そこで手続きの詳細や書類をもらうことができます。
成年後見人を立てればその人が車を売ることが可能になるので、買取店に成年後見人である証明をすれば問題ありません。
ただし成年後見人を立てるためには数ヶ月程度かかるため、非常に手間と時間がかかると覚えておきましょう。
所有者がすでに亡くなっている場合はどうする?
もし所有者が亡くなってしまっている場合、普通車と軽自動車で手続きの内容が異なるので分けて説明します。
普通車を売る場合
普通車は法律上では財産という扱いなので遺産相続が必要になり、以下の書類を用意します。
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書、委任状、譲渡証明書
- 車検証など通常車を売るのに必要な書類
まずは車の所有者が死亡したことを証明するため、戸籍謄本を取得します。
市役所の市民課で取得可能で、戸籍から所有者が抜けた状態(除籍)されていることをこの書類で証明します。
その上で、遺産分割協議書というものを用意します。
車は分割相続ができず、必ず1人が相続します。しかし遺産には相続権というものがあり、親族全員にその権利があります。
そのため相続人全員が、「車の相続は代表者に任せる」という書類が必要になり、それが遺産分割協議書というものなのです。
遺産分割協議書は、国土交通省のHPにフォーマットがありますので、印刷して記載すればOKです。
ちなみに車の残存価値が100万円以下の車なら必要ないため、まずは買取店に査定してもらってから用意するかどうかを決めましょう。
軽自動車を売る場合
軽自動車を売る場合、亡くなった所有者の認印だけあれば車を売ることが可能。
死亡したことを証明する必要はなく、通常の「車売却に必要な書類」を持っていくだけでいいのです。
買取店は、所有者が亡くなった車の買取に慣れています。
必要な書類の指示もしてくれるので、まずは「所有者が亡くなった車を売りたい」と相談することをオススメします。
ローン会社名義の場合はどうする?
ローンで買った車は、名義がローン会社やディーラーになっていることがあります。
その場合はまず、「所有権解除」という手続きを行う必要があります。
ローンを完済したら、ローン会社に「所有権解除の書類が欲しい」と伝えます。
また、基本的に自分への名義変更もローン会社が併せて行ってくれます。
所有権解除を行ってから車を売る場合、以下の書類が必要となります。
必要書類 | 用意する人 | 取得方法 | 費用 |
---|---|---|---|
印鑑証明書 | ローン会社(1通) 自分(2通) |
市区町村の役場 | 400円×2通 |
委任状 | ローン会社 | 国土交通省よりDL(書類・記入例) | |
譲渡証明書 | ローン会社 | 国土交通省よりDL(書類・記載例) | |
車検証 | 自分 | すでに持っている物 | 0円 |
また、ディーラーや買取店であれば、これらの手続き等もやってくれます。
ローン残債がある車の売却については下記記事で詳しく解説しています。
まとめ
- 代理で車を売るためには必要な書類が多くなり、軽自動車と普通車で用意するものが変わる
- 親の車を代理で売るためには手続きも少なく比較的カンタン
- 友人や親戚の車は血縁関係がないため、一度自分に名義変更してから売るのがオススメ
- 所有者が海外在住、認知症、死亡している場合は必要な手続きがかなり増える
- 買取店であればこうしたケースの対応は慣れているため、任せてしまうのがオススメ