通信技術の向上により、携帯電話はスマートフォンに進化しました。
家電もIoTの登場によって進化を遂げ、どんどん生活が便利になっています。
こうした機械は進化しているのに、車は進化しないのかというと、そんなことはありません。
「コネクテッドカー」と呼ばれる新時代の車が開発されており、既に一部の技術は市販車に搭載され始めています。
コネクテッドカーが主流になれば生活が変わることは間違い無く、新たな時代の幕開けと言っても過言ではありません。
- コネクテッドカーって何?
- これから車の未来はどう変わるの?
- 今搭載されている技術ってどんなもの?
この記事では、そんな疑問を解決するために、コネクテッドカーについて分かりやすくまとめています。
今の技術で実現していることはもちろん、これからどんな車社会が到来するのかも解説しています。
この記事を最後まで読んでいただくと、コネクテッドカーの内容やあなたにどう関係するものか分かるように執筆しました。
今後、数十年の車と社会の変化についても触れていますので、ぜひご覧ください。
コネクテッドカーってなに?最近注目されている3つの理由
※出典:総務省「第2部 ICTが拓く未来社会」より
近年、身の回りのさまざまなモノがインターネットで繋がるようになってきています。
パソコンやスマホだけではなく、家電もネットワークに繋がることで生活を便利にしてくれます。
ネットワーク上で様々なモノと繋がることで、車は人を目的地へ運ぶ以上の価値を提供してくれます。
そう聞くと遠い未来の話のように思えますが、実はコネクテッドカーはもう実現しつつある技術なのです。
コネクテッドカーならではの身近な機能として、主に以下の3つの機能が挙げられます。
1.緊急通報システム
まずは最も期待される緊急通報システムを見ていきましょう。
下記youtube動画が非常に分かりやすかったため、載せておきます。
万が一交通事故が起きた時、運転手本人が通報できない可能性もあります。
そんな時に、エアバッグの作動や車両に搭載されているセンサーが事故を検知すると、自動で警察や消防に通報するシステムが「eCall」と呼ばれるものです。
カーナビ等に使われているGPSと連動し、車の位置情報を自動で送信することで、警察や救急車等が迅速に事故現場に向かうことができます。
これは、車に通信システムを搭載するコネクテッドカーだからこそできることです。
世界に先駆けてロシアでは、2017年1月からロシア国内で販売される全ての新型車に同様のシステムを搭載することを義務付けています。
遅れて欧州でも、2018年4月から「eCall」の搭載義務化が決定しています。
2.テレマティクス保険
このデータを活用すれば、ドライバーがどの道をどれくらいの速度で走行したのかなどの情報が全て分かります。
加減速の回数やその勢い、ブレーキの回数などかなり細かなデータが割り出せるので、ドライバーが安全運転をしているかどうかも分かります。
このデータを利用して保険料を個別に設定するというのが、テレマティクス保険です。
ブレーキやアクセルの操作が緩やかな人は、それだけ安全運転を心がけていると判断され、保険料が安くなります。
また、交通量の多い時間帯に走行しない人や、夜間の走行が少ない人も事故のリスクが少ないと判断されて保険料が割引になります。
3.盗難車両追跡システム
※出典:T-Connect公式サイトより
コネクテッドカーのその他の機能として、盗難車両追跡システムというものがあります。
これは所有する車が盗難に遭った時、その車の位置を追跡できるというものです。
既に実装されているものとして有名なのが、トヨタの「T-Connect」というものです。
レクサスなどの上位車種では、遠隔で盗難車両のエンジンを停止したりすることができます。
こうしたことが可能なのも、車がネットワークに繋がっているコネクテッドカーならではのことです。
以上、3つがコネクテッドカーを実現することで期待される効果になります。
それでは、多くの人から自動運転=コネクテッドカーなの?という声が上がります。
そちらを見ていきましょう。
コネクテッドカーと自動運転とは何が違うの?
自動運転とコネクテッドカーは別物ですが、最終的には統合されると筆者は考えています。
現在実装されている自動運転装置は、カメラとセンサーによって路面状況をリアルタイムに解析してハンドルやアクセルなどを操作しています。
そのためオフラインでも機能するため、ネットワーク接続が必要なコネクテッドカーの機能とは別物と考えられます。
しかし、テスラを筆頭とする最新のコネクテッドカーは、カーナビなどの交通情報を自動運転に反映しています。
カメラで周辺を解析するだけではなく、カーナビのデータを取り込んだ方が正確な路面状況を把握できるからです。
現在自動運転は、主に高速道路上での使用を想定しています。
これが近い将来市街地での自動運転も可能になると考えられており、その時に活用するのがネットワーク上のビッグデータです。
走行予定の道路の交通量を始め、事故が多いポイントやカーブの情報などを受信して、自動運転に役立てるのです。
目の前の状況をカメラとコンピューターで解析するだけの現在のシステムでは、先を予測した自動運転は不可能です。
しかしコネクテッドカーに自動運転装置を組み合わせることで、先を予測したより安全で正確な自動運転を可能にするのです。
ここまでで、コネクテッドカーの凄さが何となく理解頂けたかと思います。
では、一体どれぐらい普及が見込まれているのでしょうか?
普及しないことには意味がありません。
便利=普及するとは限らないのが難しいところです。
コネクテッドカーの市場予測
大手調査会社の「富士経済」は下記のような予測が立っています。
地域 | 2035年予測 |
---|---|
日本 | 350万台 |
北米 | 2,010万台 |
欧州 | 2,000万台 |
中国 | 2,700万台 |
その他 | 2,420万台 |
合 計 | 9,480万台 |
コネクテッドカーの台頭により、自動車市場も大きく変わると言われています。
なぜかと言うと、コネクテッドカーに重要なのは情報です。
そのためGoogleやAppleといった、ビッグデータを保有している企業が自動車産業に進出することが予想できるのです。
- 実際、Googleは2015年に「Android Auto」というカーナビ連携のシステムをリリースしています。
- Appleも2014年に「CarPlay」という同様のシステムをリリースしています。
※Android Autoリリースについて右記参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/Android_Auto
※CarPlayリリースについて右記参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/CarPlay
Android端末やiPhoneを車に接続することで、スマホの持つデータ通信システムを利用して様々なことができるようになったのです。
Android AutoもCarPlayも音声を使って操作が可能で、オーディオやエアコンを声で操作できます。
コネクテッドカーとしての機能も備えており、カーナビの利用中に音声で近くの店を検索するといった使い方ができます。
従来のカーナビと違う点は、これらが最新の情報を使っているということです。
「近くのガソリンスタンドを探して」と言えば、ビッグデータ上にある周辺の現在営業中のガソリンスタンドを検索してくれます。
アプリを使った機能拡張も可能で、新機能の追加もスマホの操作ひとつで完了してしまいます。
下記、youtubeの動画を見ると面白いです。
Googleは2009年から、Appleは2014年ごろから自動運転車の開発に着手しています。
※Googleの自動運転車着手年は東洋経済オンライン参照:http://toyokeizai.net/articles/-/174651
※Appleの自動運転車着手年は日経新聞オンライン参照:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC15H0I_V10C17A4NNE000/
こうしたIT企業が自動車産業に参入できるのは、車に対して求められるものが変わってきたことを意味します。
従来、自動車に求められていたものは主に走行性能でした。
高出力なエンジン、しっかりとした足回り、快適な車内、こうしたものが「いい車」と言われていましたが、今は「便利さ」が求められつつあります。
自動運転によるストレスのない車をはじめ、最新のビッグデータを活用したコネクテッドカーと呼ばれる、便利な車がこれから増えていくと予想されています。
また、エンジンを使った車より電気自動車の方が開発が容易とも言われています。
そのため新興の自動車メーカーである、テスラといった企業も自動車の開発や生産ができるようになったのです。
こうした「車のEV化」「便利さの追求」が自動車の市場を大きく変えつつあるのです。
かといって、既存の自動車メーカーが何もしていないというわけではありません。
今までのノウハウを活かし、自社の強みを活かしたコネクテッドカーを次々と開発しています。
コネクテッドカーに力を入れているメーカー
もちろん、既存の大手自動車会社も、当然コネクテッドカーの開発に力を入れています。
車両開発のノウハウは十分にあるため、国内外のあらゆるIT企業とタッグを組んで開発を行っています。
コネクテッドカー市場は2035年までに9,420万台規模(2019年比の3倍※富士経済より)になると言われており、各社先手必勝とばかりに様々な技術を投入しています。
そこで、各社のコネクテッドカーはどんなものかを見ていきましょう。
LINEやNTTと組んだトヨタ
日本がほこる世界のトヨタでは、Connected戦略の説明会を開いています。
国内最大手の自動車メーカーであるトヨタは、業界に先駆けてコネクテッドカーの開発に力を入れています。
2017年1月には、アメリカのフォードと共同で「スマートデバイスリンク コンソーシアム」というものを設立しました。
このコンソーシアムには、国内の自動車メーカーからはマツダ、スバル、スズキが参加を表明しています。
カーナビメーカーからはパナソニックやパイオニアといった大手メーカーも参加しています。
これらの大手自動車メーカーとカーナビメーカーが一体となってコネクテッドカーの規格を作っていくことで、シェア拡大を急ぎます。
この規格の通信分野を担当するのがドコモをはじめとするNTTグループで、トヨタ傘下のKDDIと共に開発を推進していきます。
音声で車内のあらゆる操作を可能にするために、トヨタはLINEとも手を組みました。
LINEは独自のAI技術「Clova」を開発しており、それを活用してアプリの操作を行う計画です。
この技術が実現すれば、ドライバーはスマートフォンを1台持っていれば、車の操作が音声でできるようになります。
同グループのルノーと組む日産
2016年に日産も説明会にて、ルノーと組んで本格的にコネクテッドカーに力を入れると発表しています。
日産は同グループ企業でもある、フランスのルノーと組んでコネクテッドカーの開発を進めます。
共同でコネクテッドカーを開発する専門の部署を2016年に立ち上げ、運転のあり方が変わる未来に向けて、車を根本からデザインし直すという目標を掲げています。
その中で、アメリカの大手IT企業であるマイクロソフトと手を組み、人工知能を用いたコネクテッドカーの開発に乗り出しています。
すでに2020年の実証実験に向けて、国内大手IT企業のDeNAと無人運転車の開発をしている日産は、マイクロソフトの開発した人工知能「コルタナ」と融合することを目標としています。
無人運転車と人工知能を組み合わせることで、カメラやセンサーだけでは判断できない道路状況を解析することが可能になります。
これにより、自動運転の最高レベル「ステージ4」による完全自動運転の達成を目指しています。
トヨタと日産の違いは、車内の操作系統の進化を主な目標とするトヨタに対し、日産は自動運転技術にコネクテッドカーを活用するという狙いが色濃く反映されている点です。
ソフトバンクと組んだホンダ
※出典:ホンダ公式サイトより
ホンダは、人工知能を軸にしたコネクテッドカーの開発に力を入れています。
そのために、2016年7月にソフトバンクと提携しました。
人工知能を活用した運転支援システムを共同で開発することを目的とし、既に人工知能の技術で先を行くソフトバンクと提携したのです。
ホンダの目指すコネクテッドカーは、トヨタや日産と少し違います。
カメラやセンサーを活用した自動運転装置と連動することに変わりはありませんが、ホンダは車に人工知能を搭載することで、ドライバーとの対話によるコミュニケーションを重視しています。
人工知能とドライバーが会話をすることで、ドライバーの好みや思考を人工知能が汲み取るのです。
そして、よりドライバーの感性に近い運転支援を行うという仕組みです。
ソフトバンクは、既に販売をしているロボット「Pepper」に搭載されている技術をホンダに提供し、独自の「感情エンジン」を車に搭載する試みをしています。
車に感情エンジンを搭載することで、ドライバーが車に対して愛情を持って接するということが可能になります。
車とのコミュニケーションという、他社とは違う方向からコネクテッドカーを開発しているのがホンダとソフトバンクなのです。
ここまでの話を聞くと、コネクテッドカーはとても遠い未来の技術のように思えます。
実際、まだ開発中のものも多く、完全実用化には超えなければいけない壁がいくつもあります。
コネクテッドカーはどこまで開発が進んでいる?
コネクテッドカーは一部の技術が既に販売されている車にも搭載されています。
中でも有名なのが、トヨタの「T-Connect」です。
カーナビとスマホを連動させることで、遠隔で自車情報をチェックしたり、カギの開け閉めなどの操作が行なえます。
オペーレーターと繋げば近隣のレストランなどの施設を探すこともでき、万が一の時は緊急通報をしてくれるサービスもあります。
車のあらゆるセンサーとも連携しているため、燃料が少なくなったら近くのガソリンスタンドに自動で案内するなど、既に便利な機能がいくつも搭載されています。
同様のサービスとして、日産の「NissanConnect」、ホンダの「HONDA-CONNECT」などが挙げられます。
こうしたサービスは既に市販車に搭載されており、コネクテッドカーは生活の一部として溶け込んでいます。
世界に普及するのは2035年
コネクテッドカーは、ある日突然増えるというものではありません。
少しずつ搭載車種や搭載機能を増やしつつ、徐々に普及台数を増やす計画となっています。
そのため、世界中の約9割の新車がコネクテッドカーになるのは2035年と予測されています。
世界規模で見ると、2017年からはロシアで、2018年からは欧州で緊急通報システムの搭載が義務化されるので、これを境に世界中でコネクテッドカーが普及していくことが予想されます。
コネクテッドカーの課題
世界中で普及しているコネクテッドカーですが、そのフォーマットの形式が課題と言われています。
現在、コネクテッドカーの世界基準と言われるものは存在しません。
そのため各社が独自の規格を作ってコネクテッドカーを開発しています。
接続するスマホにしてもAndroidとiPhoneに分かれるため、両方に対応させる必要があります。
接続用のコネクターにも種類があり、これらを統一することが急務だと言われています。
他にも、今までオフラインであった車がネットワークに繋がることで、ハッキングなどの危険性も指摘されています。
遠隔でエンジンやキーロックの操作ができるコネクテッドカーは、ハッキングで第三者が操作できてしまうという脆弱性があります。
車両盗難や事故にも繋がりかねないので、セキュリティの問題は大きな課題となっています。
実際、2015年にJeepの一部車種がハッキングされる事件が発生し、大規模なリコール騒動となった過去があります。
法整備の必要性
コネクテッドカーの最終目標は、人工知能による完全な自動運転の実現です。
ドライバーは運転席に座っているだけで目的地まで行ける世界を目標としており、各社完全自動運転に向けた開発を行っています。
そこで大きな問題になるのが法律です。
現在、全世界どの国の法律も、自動車運転の責任は運転するドライバーにあるとされています。
つまり、人間が運転することを前提にした法律ということです。
もし、人工知能による完全自動運転が実現したら、法律とうまく噛み合わなくなってしまうのです。
具体的には、自動車運転による事故は誰の責任になるのか、という点が議論されています。
本来、自動車メーカーは製造した車の性能に対する責任だけを負う義務があります。
生産した車両に何らかの技術的な欠陥があったとき、その責任は製造した自動車メーカーが負うというものです。
運転中に起きた事故においては、ドライバーが行政処分と刑事処分を受けることになっています。
これが自動運転中の事故になると、自動運転システムを開発した自動車メーカーの責任になるのではないかと言われています。
世界中どの国でも、車が自動運転をする前提で制定された法律は存在しないため、新しい枠組みで法整備を行う必要性があるのです。
コネクテッドカーの登場で世界はどう変わる?
※出典:T-Connect公式サイトより
コネクテッドカーは車の使い方がガラリと変わる可能性があります。
この章では、あなたがどのような恩恵を受けられるのか具体的に見ていきたいと思います。
今まで、目的地へ人を運ぶだけだった車が、それ以上の価値を持つことになるのです。
コネクテッドカーは、開発中の自動運転技術と人工知能を組み合わせることが分かっています。
今は別々の道で進化をしているこれらの技術が集約されることで、色々な変化が考えられます。
ここでは、コネクテッドカーの登場で世の中がどう変わるかを解説していきます。
可能性1.ドライブの事前準備が必要無くなる
これに関しては、既に一部のコネクテッドカーによって可能になっていることの1つです。
従来、車でどこかに出かけるとしたら、事前に行く場所や営業時間などを下調べする必要がありました。
どこに泊まって何を食べてという計画も、コネクテッドカーがあれば立てる必要がありません。
カーナビやスマホがネットワークに繋がっていれば、自分がいる現在地から目的とする場所を音声検索だけで可能にしてしまうのです。
例えば「この周辺の美味しい飲食店」といった抽象的な要望だとしても、グルメサイトのデータを活用して高評価の店を車が紹介してくれます。
その日の営業時間も考慮されるため、出かけた先の店が閉まっているといったことがありません。
また、オペレーターに電話を繋げば、そのまま宿泊施設の予約も可能です。
これらの機能は日常でも役に立ちます。
現在空いている駐車場を検索したり、リアルタイムの交通状況から最適なルートを検索したり、どれも既に実現しています。
可能性2.カーシェアリングの利用が広がる
コネクテッドカーがあれば、車のカギが必要なくなります。
特殊な暗号化したデータで、スマホをカギの代わりに使えるからです。
これによって可能になるのが、個人の車を使ったカーシェアリングサービスの普及です。
自分の車を使っていない時間帯にカーシェアリングで貸し出すことで、ちょっとした収入になります。
車の維持費を安くすることができるため、期待がかかっているサービスです。
現時点では、車のロック解除にはカギが必須です。
そのためカーシェアリングで車を貸し出すにしても、一度利用者と顔合わせをしなければいけません。
これが手間となってカーシェアリングサービスが普及しないという問題があります。
しかし、コネクテッドカーの普及で、車のカギがスマートフォンに切り替われば、鍵の受け渡しの手間がなくなります。
そうすれば、仕事の最中などでも気軽に車を貸し出すことができるので、カーシェアリングサービスが利用しやすくなります。
最終的には、気軽に車を貸したり借りたりできる社会が、コネクテッドカーによって可能になると言われています。
可能性3.交通事故が9割回避できる
今後コネクテッドカーに自動運転技術が搭載され、世界中の全ての車が完全自動運転化されれば、交通事故は9割近く減少すると言われています。
交通事故の原因は人的なミスが大きな原因と言われています。
スピードの出しすぎやとっさの判断ミスなど、コンピュータであればある程度防ぐことが可能になるかもしません。
今の時点でも、衝突回避支援システム等は大きな進化を遂げています。
全ての車がぶつからない前提の車両となれば、事故を減らすことは十分可能です。
更に未来の話になれば、事故がなくなれば自動車保険の出番が少なくなるとも言われています。
損害保険料算出機構は、衝突回避支援システムを搭載する車について、2018年1月から保険料率を引き下げる事を発表しています。
テレマティクス保険も保険料を引き下げる中の一種で、事故率と保険料は比例していることが分かります。
悲惨な死亡事故を防ぐことも期待されているため、コネクテッドカーが交通事故を減らす手段になることは間違いないでしょう。
可能性4.車両盗難が減少する
※出典:Lexus公式サイト「G-Security」より
コネクテッドカーであれば、車の盗難を防ぐことも可能です。
車に通信機とセンサーを搭載しておけば、車両が異常を検知したら自動で通報することが可能です。
万が一車両が盗難されても、随時位置情報が送信され続けるので、盗まれた車がどこを走っているのか一目瞭然です。
当然警察とデータ連携も可能なため、すぐに現場に警察官が駆けつけることも可能です。
そして、手元のスマートフォンを使って盗まれた車を遠隔で操作することも可能です。
車両を安全な場所まで自動運転で誘導し、そのままエンジンを停止してしまうという機能も開発が進められています。
再びエンジンを始動することはオーナー以外にはできないため、盗難車両が逃走することを防ぎます。
可能性5.サーキットでは手動運転も可能
完全自動運転が実現しても、車の運転を楽しみたい人は一定数います。
もちろん、コネクテッドカーが普及してもスポーツカーの販売は続けられます。
そうした車はサーキット上でリミッター解除が可能となり、本格的なスポーツ走行を楽しむことができるのです。
サーキットに着いたらGPSによって自動検知して、リミッターを解除するということも可能になります。
一般道では安全に走行できる自動運転車として、サーキットなどでは手動で運転を楽しむスポーツカーとして使うことが可能になります。
コネクテッドカーをもっと知りたい
これまで紹介したことで、コネクテッドカーがどんなものなのか分かったかと思います。
しかし、コネクテッドカーは色々な種類があり、各社が独自の機能を開発しています。
そのため、コネクテッドカーが実現する未来は1つだけではないのです。
そこで、どんなコネクテッドカーが開発されていて、未来ではどんなことが可能になるのか、もっと詳しく知りたい人のためにおすすめのサイトなどを紹介します。
今できる事を知りたい
一部の車では、既にネットワークを使ったサービスを提供していることは先程紹介しました。
それでは、「今の時点でどんなことができるのか」を詳しく解説しているサイトを3つ紹介します。
その1.トヨタ「T-CONNECT公式サイト」
※出典:T-CONNECT公式サイトより
トヨタには「T-CONNECT」というテレマティクスサービスがあります。
カーナビにスマートフォンを接続することで、リアルタイム施設検索などが可能です。
オペーレーターによる詳しい施設検索なども可能となっており、市販車にも搭載が進められています。
そうした、今の最新技術を知るためには、T-CONNECTの公式サイトがおすすめです。
どんなことができるのかを詳しく解説しており、よくある質問などもまとめられています。
その2.日産「NISSAN-CONNECT公式サイト」
※出典:「NISSAN-CONNECT公式サイト」より
日産車に搭載されている「NISSAN-CONNECT」を詳しく解説しているのがこのサイトです。
市販車のナビゲーションシステムに専用の通信モジュールや市販のスマートフォンを接続することで、テレマティクスサービスが利用可能になります。
オリジナルのスマホアプリが用意されており、話題のスポットや人気のドライブルートなどを知ることができます。
そのままカーナビに目的地として設定することも可能で、X(旧Twitter)などを検索して情報を表示させることも可能です。
オペーレーターに直接口頭で目的地を指定することもでき、運転中でも便利に利用が可能です。
この公式サイトでも、どんなことができるのか詳しく解説されています。
その3.ホンダ「インターナビ公式サイト」
※出典:「インターナビ公式サイト」より
ホンダ車に搭載されている「インターナビ」について詳しく解説しているのがこのサイトです。
専用の通信モジュールをカーナビに接続することで、様々な機能が利用可能になります。
目的地までのリアルタイムな渋滞情報を自動で取得し、ルート案内に反映してくれる機能が最大の特徴です。
そのため、分単位での正確な到着時刻が表示されるといったメリットがあります。
その他にも、オンラインでメンテナンス記録を確認したり、防災情報をリアルタイムで受信したりでき、車の運転を手助けしてくれます。
この公式サイトで、より詳しい解説が画像つきでされています。
今後できる事を知りたい
こうしたコネクテッドカーの技術が、今後どう進化してどんな未来になるのかが気になる人は、イベントに行くことをおすすめします。
現在、国内でも様々なコネクテッドカー関連のイベントが開催されており、そこでもっと詳しく知ることが可能です。
例えば、コネクテッドカーEXPOというのが定期的に開かれています。
コネクテッドカーEXPO
※出典:「コネクテッドカーEXPO公式サイト」より
コネクテッドカーEXPOは、リードエグジビションジャパンという会社が定期的に開催しているイベントです。
トヨタや日産やホンダといった国内の主要メーカーの関係者をはじめとする、コネクテッドカー関連の技術開発を行っている様々な会社が出展しています。
コネクテッドカーEXPOというイベントを定期的に開催しており、著名人を招いてセミナーなども行っています。
コネクテッドカーやIoT関連の技術者も多数来場しており、技術的な相談をすることもできます。
自動車関連の仕事に従事していれば参加可能なので、勉強を兼ねてセミナーに出てみるもの良いでしょう。
総務省「コネクテッドカーについて」
※出典:総務省「ICTが拓く未来社会」より
総務省の情報通信白書の中で、コネクテッドカーについて詳しく解説しているページがあります。
そもそも「コネクテッドカーとは何か」という所から、中長期的な戦略が詳しく記されています。
市場規模の拡大予測についても触れられているので、今後の日本の動向を知りたい人におすすめです。
ここに書いてあることがベースとなって、国内各社はコネクテッドカーの研究開発を行っています。
まとめ
コネクテッドカーの登場は、今後の社会のあり方を大きく変える出来事となりそうです。
20世紀初頭に自動車が誕生して100年以上、車は人が操作する機械の1つでした。
世の中の家電や通信機器がどんどん進化を遂げていく中、自動車のあり方だけは変わりませんでした。
それが、自動運転技術の新規開発や人工知能の登場を経て、いよいよ時代が大きく変わろうとしています。
コネクテッドカーはあらゆる技術を統合することが期待されており、独自に進化を遂げている自動運転技術や人工知能がドライバーの代わりを果たす日もそう遠くはありません。
今の時点では、コネクテッドカーの前身であるテレマティクスサービスが限界ですが、2035年までには9割以上がコネクティビティサービスに対応する技術を搭載する見込みです。
全世界の車がコネクテッドカーに切り替わるのは数十年も先の話ですが、今後車の進化が今まで以上に加速する様を体験できることは間違いありません。