中古車購入を考えた時、まず検討材料に入ってくるのは車種やボディタイプだと思います。
しかし、ついつい気になるのが「走行距離」や「年式」ではないでしょうか。
これは、新車にはない中古車ならではの要素だからです。
そして「走行距離」が変化すれば、中古車の価格は目に見えて変わっていきます。
たとえば2024年12月時点で「アイシス プラタナ2.0 Vセレクション 2014年式」で走行距離による価格の違いを見てみました。
- 走行距離2万キロ:本体価格189万円
- 走行距離6万キロ:本体価格129万円
もちろん、全てが同じ条件という訳ではありません。
しかし、同じ車種・グレード・年式でも走行距離によってこれだけの差が生まれることがあるのです。
また筆者の周りでよく聞かれるのが「10万キロいった車は壊れる」という意見です。
- 10万キロ超えている中古車は故障ばかりする
- 10万キロを超えるともう走れない
といった声もよく聞かれますが、ちょっとお待ちを。
実際はそうでもありません。
筆者の考えをお伝えすると、あなたが思っている以上に、最近の車は長距離の使用に耐えられるように出来ています。
走行距離のうまい選び方を知ることで、世の中の相場よりお得に中古車を購入することが出来ます。
今回は、中古車を走行距離で選ぶ時のベストな基準をプロの視点から徹底解説します。
もちろん、価格より安全・キレイさを重視したい方もいるでしょうから「タイプ別の最適な走行距離」をお伝えします。
走行距離だけに注目していては故障や不具合は見抜けない
走行距離が10万キロを超えたら故障ばかり、というのは実際過去の話です。
しかし、中古車市場の中には故障が頻繁に起こったり、明らかに不具合のある車もあります。
そういった車を見抜く知識がないと、走行距離はベストでも「ハズレの車」を引いてしまう可能性があります。
記事の最後では、中古車の状態から良し悪しを見抜くチェックポイントもお伝えしますね。
まず知っておこう!「10万キロを超えたら車は壊れる」の誤解
まず冒頭でお伝えした「車は10万キロを超えたら壊れる・危険という誤解」を解いておきましょう。
ちなみに、海外に輸出された日本車が何キロ走っているか知っていますか?
海外では1台の車に長く乗る傾向が強く、中南米では30~40万キロ走っている日本車を目にすることもあるそうです(筆者の友人の中古車輸出業者談)。
そしてこれらの車の多くはノーメンテナンスだったりします。
よって適切なメンテナンスがされていれば「車は15万キロ~20万キロ超えても問題ない」というのが筆者の考えです。
実際に、こういった条件の中古車でも「良い状態の車はたくさんある」という回答を、筆者の知人の中古車販売店・整備業者の数人から聞いています。
もちろん、1年に1万キロ走るようなペースであれば、10年前の車両ということになり、デザインも古い可能性があります。
しかし「走行距離が10万超えてもコンディションが悪いとは限らない」と覚えておきましょう。
ほしかった車が安く買える機会を、泣く泣くあきらめずに済むかもしれませんよ。
さらに、その中でも特に「走行距離が長くても問題ない可能性が高い」中古車というものがあります。
それは
- 法人登録されていた中古車
- 郊外で乗られていた中古車
の2つです。
(1)法人登録していた中古車は安心
レンタカーやディーラーのデモカー(店頭展示車)・試乗車などの法人登録車は、定期的に適切なメンテナンスがされています。
お客さんを乗せるわけですから、不備があってはいけませんし、ディーラーが登録しているデモカーなどは「その車種が売れるかどうか」を大きく左右します。
個人が乗っている車より、丁寧な整備が行われている場合が大半です。
上述の通り、現在では「走行距離が長いか」よりも「適切な整備・メンテナンスがされているかどうか」が車の状態を左右します。
その点で、法人登録されていた中古車は走行距離に関わらず安心感が高いです。
例外:商用車のバン・ワゴンは要注意
しかし例外もあります。
商用車として人気のバンやワゴンは、不特定多数が乗車し、荷物の運搬に使われるなどの目的からハードな使用をされていることがあります。
これらの車種で法人登録されていたものは、逆に注意すべきです。
(2)郊外で乗られていた中古車
同じ走行距離でも
- 長い距離をしばらく走り続けていた車
- 頻繁に停止・発進を繰り返した車
どちらが状態が良いと思いますか?
これは圧倒的に前者です。
車の停止・発進には思っている以上の負荷がかかっています。
郊外で乗られていた中古車であれば、信号が少ない直線道路を走っていたため、街中で乗っていた車よりも状態が良いことが多いのです。
実例で分かる!中古車の走行距離と価格の関係
中古車のスペックを決定づけるものには走行距離の他にも、年式・グレード・モデルなどがあります。
しかし、中古車の価格に大きく影響する要素のひとつが走行距離です。
これを読んでいるあなたも「少しでもお得に中古車を買いたい」というのが本音だと思います。
走行距離の変化によって、どのくらい価格にインパクトがあるのかを調査してみました。
- 2013年(4年落ち)の中古車を対象に、走行距離による価格の違いを調査
- 正確な価格差を測るため、モデル・グレードは統一
- 特に表記がない場合、2WDに統一
トヨタ・ヴォクシーの場合
グレード:X Lエディション
走行距離 | 中古車本体価格 | 新車価格 | 新車価格との対比 |
---|---|---|---|
1.6万キロ | 178万円 | 238万円 | 74.8% |
2.7万キロ | 156万円 | 238万円 | 65.5% |
3.8万キロ | 135万円 | 238万円 | 56.7% |
5.9万キロ | 129万円 | 238万円 | 54.2% |
8.7万キロ | 119万円 | 238万円 | 50.0% |
※2024年12月現在のカーセンサーで調査
[CV_中古車提案サービス_車種紹介]
ホンダ・N-BOXの場合
グレード:G Lパッケージ
走行距離 | 中古車本体価格 | 新車価格 | 新車価格との対比 |
---|---|---|---|
2.4万キロ | 125万円 | 139万円 | 89.9% |
4.2万キロ | 119万円 | 139万円 | 85.6% |
5.8万キロ | 104万円 | 139万円 | 74.8% |
7.5万キロ | 91万円 | 139万円 | 65.5% |
※2024年12月現在のカーセンサーで調査
[CV_中古車提案サービス_車種紹介]
マツダ・CX-5の場合
グレード:20S Lパッケージ
走行距離 | 中古車本体価格 | 新車価格 | 新車価格との対比 |
---|---|---|---|
2万キロ | 179万円 | 212万円 | 84.4% |
5.1万キロ | 155万円 | 212万円 | 73.1% |
6.5万キロ | 139万円 | 212万円 | 65.6% |
7.2万キロ | 121万円 | 212万円 | 57.1% |
※2024年12月現在のカーセンサーで調査
[CV_中古車提案サービス_車種紹介]
このデータに筆者の経験を加味すると、走行距離による価格の変化は(他の条件が同じだとして)以下のような目安です。
- ~2万キロ:新車価格の80%
- 3~4万キロ:新車価格の70%
- 5~7万キロ:新車価格の60%
- 8~9万キロ:新車価格の40%
- 10~15万キロ:新車価格の30%
注意点として、登録されたばかりの未使用車では必然的に走行距離も数キロ~数十キロにおさまるため、これは当てはまりません。
年式とギャップがありすぎる走行距離には要注意!
上記の価格の変化率は、年式やグレードなど、走行距離以外が共通している場合です。
実際「年式と走行距離はどちらを重視すべきなの?」という質問をよくされます。
日常生活ににおける「適切な走行距離」は、1年あたり8,000~10,000キロとされています。
つまり、1年落ちるごとに走行距離が1万キロ程度増えるのが通常のペースとされています。
年式・走行距離の極端なケースというのは
- 年式に対して走行距離が極端に長い
- 年式に対して走行距離が極端に短い
という意味です。
たとえば、1年落ちで走行距離5万キロ以上走っている車は、通常よりもハードな使われ方をしていたと予想できます。
その反対に、5年落ちで走行距離1万キロに満たないような車は
- 車を動かす機会がほとんどなかった
- 一時期乗られていたが、ガレージや倉庫などで長い間放置されていた
と推測できます。
車は定期的に動かした方が良い状態を保てることは知人の整備士も声をそろえます。
後者のケースでは
- オイル系やゴム部品の経年劣化が激しい
- その結果、エンジンやエアコンにも不具合がある可能性がある
- 塗装も痛んでおり、剥げやすい
と考えられます。
完全版!タイプ別・走行距離のベストな選び方
中古車の走行距離の真実・走行距離と年式の関係について知っていただいた後は「タイプ別・オススメの走行距離の選び方」を紹介しましょう。
中古車を買う時に「値段はまったくもって気にしない」という方はほとんどいないのではと思います。
走行距離が増えると、中古車の状態とともに価格も変わっていくのは上でお話しした通り。
あなたがどのタイプに当てはまるかを見ることで「コスパの良いベストな走行距離」が分かりますよ。
ぜひご覧ください。
【裏技】手っ取り早く、コスパの良い中古車を見つけたい方に!
この後の内容を見てもらって自分にピッタリの走行距離が分かった上でも「安全・状態の良い中古車を自分で選ぶのはハードルが高い」という人がいるかもしれません。
そんな方にオススメな中古車の探し方が「ズバット車販売」を使った方法。
車査定で有名なネクステージは、中古車の提案サービスを行っています。
- 中古車検索サイトに載っていない状態の良い中古車を探している方
- 希望の条件だけを伝えて、後はプロにおまかせしたい方
- 車種の希望も特にないので、最適な中古車を提案してほしい方
下記のような一見むちゃな要望も伝えることができます。
- トヨタ・プリウスの中古車で走行距離3万キロ以下のものが欲しい
- ホンダ・フリードで年式落ち・走行距離ができるだけ少ないものが欲しい
- 赤色のマツダ・CX-5を100万円以下で買いたい
- 新車同等の新古車や未使用車が欲しい
「ズバット車販売」の場合は、下の画面を見てください。
「その他要望」の部分に「先ほどのむちゃな要望」を書くことができます。
裏技的な方法ですが、こうする事で、ネクステージが豊富な在庫の中から希望の中古車を提案してくれるのでオススメです。
(1)とにかく価格重視!見た目(外装・モデル)妥協しても良い方:10~13万キロ
こういった方は、本体価格がぐっと下がる10万キロ以上の中古車がオススメです。
目安としては、10~13万キロ程度が狙い目です。
現在から逆算すると、通常使用で「2000~2003年式」と考えることができ、基本的な性能は充分です。
1990年代の時の10年落ちとは、状況は大きく変わっているといえますね。
ただし、世の中にある10万キロの中古車は、走行距離以外にメンテナンス不足や故障を抱えていたりするケースも否定できません。
後半でご紹介する「中古車のチェックポイント」に加え
- タイミング系の部品が交換されている
- ブッシュ(ゴム製の緩衝材)が交換されている
という点がクリアできるかをチェックしましょう。
経年・使用とともに少しずつ劣化していく部品が交換されているかどうかがメインになります。
タイミング系の部品が交換されている
エンジンの駆動タイミングを調整する部品が「タイミングベルト(チェーン)」です。
この部品に問題があると、正しいタイミングでエンジン駆動が行われず、車が動かない・エンジンの不完全燃焼といったことが起こります。
タイミング系部品には
- ゴム製のタイミングベルト
- 金属製のタイミングチェーン
の2種類があり、ゴム製のベルトは走行距離10万キロ目安で交換が必要です。
10万キロを超えている場合は
- タイミングベルトが交換されているか
- 納車前整備でベルトの交換を行ってもらえるか
が購入の必須条件と言っても良いですね。
金属製のチェーンは「距離に関係なく半永久的に使える」とされますが、やはり実態のある部品ですから15~20万キロを目安に交換しておくと安心です。
ブッシュ類(緩衝材)が交換されている
ブッシュ類は、サスペンションなどに使われているゴム製の部品(一部金属パーツ配合のものも)です。
ゴム製の部品は、10万キロ、または10年を目安に交換するのがベターです。
ブッシュ類は車の衝撃を吸収したり異音軽減までを担うため、車の各部にダメージが及ぶのを防いでくれます。
またエンジンをかけた時に振動が目立つような中古車は避けましょう。
(2)古臭い中古車はイヤだけど、安く買って長く乗りたい方:5~7万キロ
激安とまではいかないまでも、
- 中古車なのでできればお得に乗りたい
- その上で、比較的長く乗れる車がほしい
という方は、走行距離5~7万キロをオススメします。
通常の使用で年式に換算すると、2010~2012年式あたりです。
こういった車であれば、外装や内装の状態も問題ないケースが多く、
- まだモデルチェンジをしていない
- モデルチェンジしていても、比較的最近のテイストを受け継いでいる
といえるため、古い中古車は避けたい方でも安心です。
5~7万キロが良い理由としては、今だに10万キロが大きな価格落ちのラインになるためです。
7万キロを超えた後は、7万キロでも9万キロでも価格がそこまで変わらなかったりします。
これは筆者の見解ですが
- 3万キロ
- 5万キロ
- 10万キロ
あたりが、中古車価格が特に変化するボーダーラインといえます。
それであれば、できるだけ距離も少ない7万キロまでが状態もより良いはず、と考えられるのです。
(3)新車よりは安く買いたいけど、できれば綺麗な状態がいい方:2~3万キロ
「人気の車種を、新車より少しでも安く買いたい」という方も多いと思います。
そういった方は2~3万キロの中古車を選ぶのがオススメです。
通常使用であれば、2015~2016年式あたりです。
この距離に達した中古車は、新車よりも一段階価格が下がっています。
年式も通常使用であれば2~3年落ちにとどまっているため、新車と遜色ない見た目の車も見つかります。
注意点として、半年以内に新発売となったような車種でこの条件の車を見つけるのは困難です。
その短い期間で走行距離2万キロに達し、なおかつ手放されるような車はある意味「危険信号」といえます。
新発売の車種・モデルがほしい方は「未使用車」の購入も検討に入れてみましょう。
未使用車は、ディーラーが新車販売目標を達成するために自社で登録したものです。
走行距離は大半の場合、数キロから数十キロで、あってないようなものです。誰もオーナーがいないため、外装もほぼ新品です。
しかし価格は名義登録によって、新車価格の80~90%ほどまで下がっていることが多いため、コスパの良い中古車です。
ハズレの中古車を見抜く!中古車確認の必須ポイント
ここまで、中古車の走行距離から、あなたにぴったりな車を選ぶ方法についてお話ししてきました。
しかし「走行距離が長くても問題ない」というのは「メンテナンスが行き届いている場合」というのは冒頭でお伝えした通りです。
- メンテナンスが行き届いているか
- 状態が良い中古車かどうか
はどこを見れば良いの?と思うかもしれませんが、安心してください。
最後に、初心者の方でも実践可能な「中古車のチェックポイント」をご紹介します。
下記の図が、筆者が作成した印刷可能なチェックシートです。 またはスマホで画面を開いて使うのも良いでしょう。
これらの中古車のチェックポイントについて下記記事でより詳しく解説しています。
「修復歴車」には要注意
このチェックシートに加えて、状態の良い中古車を見抜くために一点、覚えておいて欲しいことがあります。
それは「修復歴のある車」は避けるということ。 修復歴車って何?と思うかもしれませんが、下記はカーセンサーの中古車検索画面です。
囲んだ部分に「修復歴あり」という項目があるのが分かりますね。
これは「車の骨格(フレーム)部分を修理・交換した車」という意味です。
別名「事故車」とも呼ばれますが、必ずしも事故に遭った車という訳ではなく、カスタムの過程で骨格部品を交換した車も含まれます。
こういった車の骨格部分に修復を加えた車は、経験上、重大な不具合につながる可能性が他の車両より高いです。
修復歴車は一般的に、他が同じ条件の中古車よりかなり安くなる傾向があります。
しかし、その価格につられて購入してしまうと、修理代の方が高くつくかもしれません。
例え価格が安くても、避けるべきタイプの車です。
まとめ
どうでしたか?ぜひ、あなたの中古車購入に役立ててください! 最後にポイントと共に、おすすめの中古車購入方法を振り返っておきますね。
なかなか市場に出回らない質がいい中古車をお手軽に見つけたい人は…中古車提案サービス「ズバブーン車販売」を使うのがおすすめです。
タイプ別の走行距離の選び方もおさらいしておきましょう。
中古車を購入しようという時に「走行距離10万キロなんてありえない!」という方を見かけると、もったいないなぁと思う時があります。
走行距離の選択肢を広げれば、希望通りの価格・状態で中古車を購入できる可能性がぐっと高まります。
もちろん、長い走行距離が性に合わないという方もいて当たり前です。
上記のタイプをご自身に当てはめてみて、ベストな走行距離を見つけてくださいね。